初 夢
さて、年もかわり新しい年もいつもの如く始まりました。もう、多くの夢を ページのトップへ戻る
一年を振り返りみて
さてさて今年も残すところあと数日と押し詰まりました。何はともあれ、 ページのトップへ戻る
「ピアスは和製英語?」-- ”皮フの手帖”から
季刊誌 ”皮フの手帖”VOL12 にピアスについて特集がありました。その中で ページのトップへ戻る
皮膚科疾患における季節性
今年もあとわずかになりました。何事も簡素化、合理化されつつある昨今では昔ほ ページのトップへ戻る
柑 皮 症
みかんが美味しい季節です。甘いオレンジの味は季節感もあって日本人の
初 夢
投稿者: iwata 投稿日: 1月8日(木) 12時45分19秒
保持できる年齢ではありませんが、年始めにあたり初夢がわりに日頃夢想して
やまぬ我が理想のクリニックを語ってみましょう。
それは、アトピー性皮膚炎、なかんずく成人型のそれを専門に入院治療できる
小規模の有床診療所を持つ夢です。町を離れ、環境抜群の風光明媚な地に(そ
れも出来れば個人的好みから海の見える所で)4〜5人分の個室病室を備えた
明るい入院専門の有床診療所。
慌ただしい現代生活の中で、身も心も疲弊した成人型アトピー性皮膚炎患者さ
んにゆったりとした時間の流れを体験して頂き、アトピー治療とともに焦らず
人生を見つめなおす機会も併せて提供したいのが夢です。
そこでの治療は食事、アレルゲン対策、脱ステロイド、長波長紫外線療法、温
泉療法、減感作治療、カウンセリング、グループミーティング法、運動療法な
ど各療法の専門チームを編成し、個別に治療プログラムを組み、患者さんの増
悪因子を
徹底的に究明する為の対話と調査に多くの時間を持つことができる入
院診療をしたいという夢です。
いくら入院中に寛解しても、家庭や学校、職場へ復帰したら元に戻ってしまう
のであれば何もなりません。場合によっては退院後、思い切った転地や職種換
え、環境変えを本気で考えることが出来るような、すなわち人生を見つめ直す
勇気を入院中に育てる機会としたいものです。
ここ1年半ほど、アトピー性皮膚炎の午後の予約診療(一人、約2時間の保険
診療)を毎週1、2人続けてみて、本当に多くの患者さんが現代の日本の医療
体系の中でその狭間に入り込んでしまっている現実を見て来ました。
町の診療所から病院、大学病院に至るまで外来での一人の診療時間はあまりに
少な過ぎます。これでは成人型アトピー性皮膚炎のように個々別々の増悪因子
を持つ患者さんの詳しい問診、さらには個別の対策を考えることも出来ず、患
者さんが悩みを訴えることも出来ません。こうした現実の前に診療形態の理想
を求めて夢
想
することがしばしばです。
現在、私の理想に近い診療形態を実践しておられるのが岩手県の石鳥谷町にあ
る「星の丘クリニック」院長、岡部俊一先生です。TVでも幾度も取り上げら
れたこの診療所は成人型アトピー性皮膚炎の治療で有名です。
「星の丘クリニック」:岩手県稗貫郡石鳥谷町松林寺3ー76
TEL: 0198-46-1010
ここでは漢方治療をはじめ前述したような複合的な治療が個別にプログラムさ
れ、環境抜群の地でゆったりと治療してもらえます。
現行の保険診療枠ではこのような診療所の経営は極めて困難で、全国に小生と
同じ夢をみる多くの皮膚科医の羨望の的と云えるでしょう。
なかなかに現実は正夢とはいかぬのが残念ですが、夢は持ち続けたいと考えて
います。
投稿者: iwata 投稿日: 12月28日(日) 00時40分20秒
一人静かに1年の総括をせんと例年の如く、診療関係の統計をパソコン上に
出してみたり、ハードディスクに記録した紹介状への返事を再度読み返すな
どして時を過ごします。また、デジカメで記録した皮膚病変を再度画像デー
タベースから順次開けて眺めてみますと印象に残った疾患の数々も思い起こ
されて来ます。
大学病院へ紹介させて頂いた患者さん、国立病院へ御入院頂きました方、市
民病院で精密検査をお願いした患者さん、当院で新しい治療を始めさせて頂
きました方等々、それぞれに深い印象が残ります。診断上、己の力至らずに
紹介状の返信を頂き、思いもよらぬ疾患の指摘を受けて大いに恥じ入ったこ
ともございました。ひとつひとつの経験はまさに得難い勉学の機会に他なり
ません。
今年、とくに印象の深かった疾患の患者さんは、「外陰部ページェット病」
の方でした。陰嚢皮膚にみられる紅色のビラン局面と周辺の小さな脱色素斑
で来院されたその方は、紅色のビラン面にすでに径2cm程の腫瘤形成が認め
られました。アポクリン汗腺(大汗腺)由来の前癌病変の本疾患は、腫瘤形
成をみるに及び、すでにページェット腺癌に進展していることを瞬時にして
悟らせるものでした。さらに問診から、医師としてその病変を診察するは、
あろうことか自分が一番最初であるを知るにおよび、かような大きな変化に
至るまで年余にわたり密かに自己加療に甘んじて居られた御本人様の心情は
如何ばかりかと深い哀惜の念に耐えませんでした。
と同時に、初診で私が下すその診断が御本人様の人生にとって極めて大きな
ものとなってしまう意味に強い緊張を覚えました。病変側のソケイ部を震え
る指で触診すると、すでに小指頭大のリンパ節が2ヶ触知され下床にも累々
と小腫瘤が触診できました。この時点で大学病院時代に十
数例経験した同疾
患の手術と予後が思い起こされ、今から直ちに大学病院へ紹介状を持って受
診して頂くことを如何にしたら冷静に説明出来ようかと
頭が一杯になりまし
た。
なんとか御家族(奥様)の同行をお願いして、大学病院への紹介状を作成し
た後、ただ単に軟膏をもらって帰る気持ちだけで来院された御本人様に対し
て事態を説明し終えるにはやはり相応の時間がかかりました。
後日、無事広範囲手術が終了した報告書を大学から頂戴致しましたが、厳し
い後療法が待っていることを思う時、患者さんの無事をひたすら祈らずには
居れません。
田舎町の皮膚科診療所でも、一年に一人くらいはかような疾患の患者さんに
出会うものです。忘れ得ぬ診察、忘れ得ぬ患者さん。
投稿者: iwata 投稿日: 12月20日(土) 21時52分45秒
「ピアスは和製英語」の欄外見出しにちょっと興味が湧きました。記事を少し
引用致しますと、
曰く、「ピアスという言葉は欧米では通用しません。ほとんどの女性がピアス
をしていて、日本のようにクリップで固定するイヤリングをする人が非常に少
ない為、わざわざピアスとイヤリングを区別する必要がないのです。つまり、
英語でイヤリングといったらピアスのことをさしていることがほとんどです。
海外旅行でアクセサリーを買うときは注意しましょう。特に必要ある場合はピ
アスを「pierced earring」,いわゆるイヤリングを「clip-on earring」と区
別しているようです」
いわゆるピアスによる皮膚障害は結構ありますが、大別して、ひとつは使用す
るピアスの材質とくに金属のアレルギーや御本人が使用した消毒剤のカブレな
どの接触皮膚炎、いまひとつはピアス孔における傷への細菌感染、および肉芽
腫形成などです。これらを総称して原
因にかかわらず「ピアス皮膚炎」と呼ば
れますが、当然治療や対処は個々のケースで異なって来ます。
それぞれの詳しい解説は特集記事に譲るとして(注、”皮膚の手帖”は皮膚科
医院の窓口などによくおいてあります。無料)、過去に診察したピアストラブ
ルの事例を2つ。
先ず、20才の女性。耳たぶが一部が切れて出血したまま来院されました。セ
ーターを脱ぐ際に一方のピアスが衣類にひっかかり、セーターを脱ぐのを彼氏
が手伝ったことも相まって、勢い良くセーターを脱ぎ捨てた際にピアスを引っ
かけてしまい耳たぶが引きちぎれてしまいました。この場合、ピアス孔が比較
的耳たぶの外側近くに開いていた為に、皮膚が切れてしまったようです。
当院ではピアスの孔開けは行っていませんのでその流行は知りませんが、これ
を行っている或る皮膚科の先生によれば、孔の位置にもいろいろと流行がある
ようで、有名タレントの開けている位置が流行ることもあるようです。それに
しても、あまり外側にあけるのは
万
一の時に耳たぶが切れやすくてキケンと云
えましょう。
次ぎに、友人とピアス孔をお互いに開けあって、後で金属による接触皮膚炎と
一方に細菌感染を生じ、数ケ月後に外傷性表皮嚢腫(袋状のしこり)が出来て
しまった事例です。病院の看護婦さん達の間では、局所麻酔剤や無菌の注射針
が身近にあったりしますので、これで耳たぶを麻酔したり、あるいは液体窒素
やドライアイスで局所的に皮膚を冷凍処置した後、お互いにピアス孔を開け合
ったりすることがあるようです。消毒や無菌処置についてはプロですから、そ
の時はあまり問題が起きません。しかし、通常、ファーストピアスには孔の内
側が上皮で覆われてくる4〜6週間程、カブレを生じにくいスタッドと云われ
る専用ピアスを一時的に装着しておくのですが、それを孔を開けてすぐさまア
クセサリー用のピアスを装着してしまい、後でカブレを起こしたりあげくにそ
のジュクジュクした局面に細菌感染まで引き起こしてしまった例です。その後
表皮の修復過程で一方の
孔の中に外傷性表皮嚢腫と云われる袋状の良性腫瘍が
出来てしまいました。結局、小手術が必要となり極めて小さな瘢痕組織ではあ
りますが、その部位には二度とピアス孔を開けることは出来なくなった由。
今や、女高生のピアスなど珍しくもありませんし男子生徒の片方の耳にそれを
発見しても別段驚きもしませんが、やはり
「身体髪膚これ父母に受く、敢えて毀傷せざるは孝のはじめなり」なんて呪文
を聞かされ育った世代には到底理解の及ぶものではアリマッシェン!
投稿者: iwata 投稿日: 12月10日(水) 21時34分26秒
どのことはありませんが、それでも年末に向かってなんとなく毎日が気忙しくなり
ます。
しかし、毎日の気持ちとは逆にこの季節、一般に皮膚科はヒマな時期になって来ま
す。と云うのも、皮膚科疾患で受診される方は圧倒的に夏が多く、冬は受診される
方が減少するからです。夏に多い疾患や増悪する皮膚病は、水虫やとびひ、虫刺さ
れが代表的なものですが、夏休みでお子さんも多く受診されますことも相まって患
者さんが増えます。
一方、肌が乾燥する冬には、アトピー性皮膚炎や高齢者の乾皮症、皮脂減少性湿疹
と云った、乾燥によって増悪する疾患の方が来院されますが、その数は夏の水虫や
虫刺され、トビヒなどで来院される方ほどは通常多くはありません。また、寒いと
つい外出がおっくうになり受診回数も減ってきます。
従って、一般の開業の皮膚科では、夏に外来は混雑し冬にヒマになることを毎年繰
り返します。これは冬季
に風邪などで外来が混雑する内科や春先に花粉症で待合い
室が一杯になる耳鼻科などと同じで、疾患の季節性によると云える現象です。
ところが、最近暖冬の為か冬になっても夏に多くみられる疾患がチラホラ散見され
ます。例えば、夏の風物詩とも云えるトビヒをこの12月に入って今年は数例経験
しましたが、あるいは、生活環境の向上によって冬でも結構暖かい部屋で毎日を過
ごすことが出来るようになった為かも知れません。
しかし、一年中便利で快適な環境が出来上がったり、温暖化の影響で気候が変化し
たりすると、人間のもつ本来の抵抗力(免疫も含めて)や変化に対応する能力が損
なわれてくる心配があります。やはり、皮膚科は冬にヒマで夏忙しい傾向がずっと
続くのが良いのかも知れません。ヒマな診察室で新聞を読みながら京都会議の記事
を見て思った次第です。
投稿者: iwata 投稿日: 12月2日(火) 15時15分42秒
好みにもよく合っています。これから正月にかけてどこの家庭にもみかんが
沢山テーブルに並ぶことでしょう。
ところで、みかんを多く食すと後で肌が黄色味を帯びてくることはよく知ら
れています。これを「柑皮症」aurantiasis と呼ぶのですが、みかん以外の
食物でもこれが生じることはあまり知られてはいません。
柑皮症はβカロチン(ビタミンAの1種)を多く含む食物を摂取することに
より生じるのですが、その食物にはみかん以外に、にんじん、パセリ、ほう
れん草、トマト、レタス、さつま芋、タマネギ、かぼちゃなどがあります。
従って、これらの食物を多くとれば当然、柑皮症になる訳です。
さて、このβカロチンは皮膚炎症に大きく関与すると云われる活性酸素を取
り除く物質として知られ、最近、アトピー性皮膚炎の患者さんの中にもこれ
を好んで摂取している人があります。先日も、或る成人型アトピー性皮膚炎
の若い女性が
βカロチンを多く取りたい一心で、毎日にんじんやレタス、ト
マトなど黄緑野菜をせっせと食べ、ついに肌が少し黄色味を帯びて来てしま
いました。
アトピー皮膚炎については現在脱ステロイド治療中で白色ワセリン外用のみ
で治療しているのですが、今のところ一進一退です。しかし、最近になって
妙に肌が黄色味を帯びて来ているので、黄疸ではないし変に感じておりまし
た。季節柄、みかんでもたくさん食べて柑皮症になっているのではと疑い、
尋ねてみますと「皮膚炎症を起こす活性酸素を抑えるためにβカロチンを沢
山摂取してますが、みかんだと肌が黄色になると思ってニンジンやレタスに
しているんですが....」との返事でした。また、βカロチンを多く含有するド
リンク剤も飲用されていました。当方、「ん?」と思って再度確認してみた
のですが、みかんのβカロチンだけが柑皮症を誘発し、それ以外のものは大
丈夫と勘違いされていたようです。
御本人はβカロチン過剰による柑皮症の発生はよく御存知なので
す
が、「柑
皮症」の字を御存知なばっかりに、柑橘類さえ避けて他のβカロチン含有野
菜なら肌も黄色にならずに活性酸素をうまく取り除いて、アトピーの炎症を
抑えることが出来ると思っておられたようです。
まあ、βカロチンは癌の予防や紫外線による皮膚老化にも効果があるとされ
ていますので摂取されるのは良いのですが、肌を黄色にするまで取る必要は
ないのかも知れません。女性の一途な思いを垣間みたような気がします。
(男性ではここまで熱心に食物栄養治療を行うことは出来ないようです)